すーちゃんのバトン
青原寺のIです。
冷たい雨の降る土曜日…樹木葬のお客様の一周忌が執り行われました。
本堂でのご住職のお経の後、皆様が傘を持ち故人様へお線香、お花を手向けておいででした。
故人様は「すーちゃん」と仰るそうです。この樹木葬をお求めになられた時、
故人様の旦那様と
故人様の実のお姉様が隣同士でご購入されました。
それは生前の姉妹のお約束であったそうです。「姉ちゃん、隣同士でお墓を買おうよ、そしたら寂しくない」と…
お姉様はその言葉通り約束を果たして下さいました。
そのお姉様は毎週毎週、リュックを背負いお参りに来て下さいます。私の所に来て色々な話をして下さいます。その時に
「あの子は…」と言う言葉を使います。
もう人生を熟成された方でも「あの子は」と、言っておられる…お姉様に取って「すーちゃん」は幼き時のままでいるような感じさえもします。
「あの子はねぇ、奇特な子でね、お墓参りに行くと無縁さんにもお線香をあげるような子だったのよ」と、教えて下さいました。
「そうなんですね!わかります。無縁さんは最強だと聞いたことがあります。私もここで必ず話かけていますよ」って言いました。
夏の暑い日も
秋の心地良い西日が差す午後も
そして冬の冷たい北風のお昼間も
すーちゃんからの
「命のバトン」は
絶える事なくお姉様に受け継がれています。
そして本日…節目の一周忌を迎えました。賑やかな会話と共にご親戚の方がお集まりでした。
私に「無縁さんに差し上げて」と
早春の花束を一対いただきました。
可憐な花びらが傷まぬよう日曜の雨上がり手向けさせていただきました。
亡くなった方の果たせなかった事を
今、生きている人達が受け継いでいます。
それがご供養であり
命のバトンでもあると思った今日でした。